石油枯渇後は「人工の葉っぱ」が主要エネルギー源に? 科学者ら提唱
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【2月24日 AFP】光合成を行う「人工の葉っぱ」がエネルギー源になり得るとする複数の研究が、カナダ・バンクーバー(Vancouver)で前週末に開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)のカンファレンスで発表された。
世界のエネルギー消費量は今後40年間で100%増加すると予想されている。この間に石油と天然ガスは枯渇すると考えられており、光合成をエネルギー源として活用するためのさまざまな方法が模索されている。
だが光合成は効率が低く、小麦やテンサイなどの主要作物では理論上最高で5%程度だ。ただし、効率が数パーセント上がるだけでも、主要なバイオ燃料源になる可能性があるという。
米アリゾナ州立大(Arizona State University)のアン・ジョーンズ(Anne Jones)準教授(生化学)は、「現在使われている化石燃料は全て光合成の産物だ」と指摘した上で、「光合成の効率を上げることは可能」だと述べた。
■無駄になっている電子を活用
ジョーンズ氏によれば、二酸化炭素(CO2)が固定化される際の触媒となるルビスコという酵素が飽和状態になると、炭水化物の生成が遅くなり、吸収された光エネルギーの大半が熱となって失われる。
ジョーンズ氏は「植物の分子機構は、晴れの日には、ルビスコの炭水化物製造エンジンが扱いきれない量の電子を生産し、これらの電子の多くが無駄になっている」と語り、送電網が整備されていないため発電所で作った電気が無駄になっているようなものだと説明した。
科学者たちは、光合成にかかわる集光細胞が吸収したエネルギーを生化学的な微細なワイヤーで別の細胞に送り、燃料を生産させる方法を検討している。
英ケンブリッジ大(University of Cambridge)のハワード・グリフィス(Howard Griffiths)教授(植物生態学)は、ルビスコを操作して、イネの光合成の効率を上げる方法を模索している。エンジンにターボチャージャーを付けるようなものだが、現段階ではそれほど簡単なことではない。
これまでに、サトウキビや藻類などの一部の植物では、C-4と呼ばれる分子機構のおかげで、ルビスコの能力が比較的高いことが分かっている。この分子機構を遺伝子操作によりイネに組み込み、収量を増やせるかもしれない。
■「人工の葉っぱ」でバイオ燃料を直接生産も
なお、英グラスゴー大(University of Glasgow)のリチャード・コッジェル(Richard Cogdell)氏は、二酸化炭素と水から直接バイオ燃料を生産する「人工の葉っぱ」を用いる方法を提唱している。生産されるバイオ燃料はテルペンで、「適切な条件下では」オクタンのように振る舞うという。
「実用化までには長い道のりが予想されるが、少なくとも半分の距離はこなした。30年から50年後には実現されるのではないか」と、コグデル氏は述べた。(c)AFP/Jean-Louis Santini
世界のエネルギー消費量は今後40年間で100%増加すると予想されている。この間に石油と天然ガスは枯渇すると考えられており、光合成をエネルギー源として活用するためのさまざまな方法が模索されている。
だが光合成は効率が低く、小麦やテンサイなどの主要作物では理論上最高で5%程度だ。ただし、効率が数パーセント上がるだけでも、主要なバイオ燃料源になる可能性があるという。
米アリゾナ州立大(Arizona State University)のアン・ジョーンズ(Anne Jones)準教授(生化学)は、「現在使われている化石燃料は全て光合成の産物だ」と指摘した上で、「光合成の効率を上げることは可能」だと述べた。
■無駄になっている電子を活用
ジョーンズ氏によれば、二酸化炭素(CO2)が固定化される際の触媒となるルビスコという酵素が飽和状態になると、炭水化物の生成が遅くなり、吸収された光エネルギーの大半が熱となって失われる。
ジョーンズ氏は「植物の分子機構は、晴れの日には、ルビスコの炭水化物製造エンジンが扱いきれない量の電子を生産し、これらの電子の多くが無駄になっている」と語り、送電網が整備されていないため発電所で作った電気が無駄になっているようなものだと説明した。
科学者たちは、光合成にかかわる集光細胞が吸収したエネルギーを生化学的な微細なワイヤーで別の細胞に送り、燃料を生産させる方法を検討している。
英ケンブリッジ大(University of Cambridge)のハワード・グリフィス(Howard Griffiths)教授(植物生態学)は、ルビスコを操作して、イネの光合成の効率を上げる方法を模索している。エンジンにターボチャージャーを付けるようなものだが、現段階ではそれほど簡単なことではない。
これまでに、サトウキビや藻類などの一部の植物では、C-4と呼ばれる分子機構のおかげで、ルビスコの能力が比較的高いことが分かっている。この分子機構を遺伝子操作によりイネに組み込み、収量を増やせるかもしれない。
■「人工の葉っぱ」でバイオ燃料を直接生産も
なお、英グラスゴー大(University of Glasgow)のリチャード・コッジェル(Richard Cogdell)氏は、二酸化炭素と水から直接バイオ燃料を生産する「人工の葉っぱ」を用いる方法を提唱している。生産されるバイオ燃料はテルペンで、「適切な条件下では」オクタンのように振る舞うという。
「実用化までには長い道のりが予想されるが、少なくとも半分の距離はこなした。30年から50年後には実現されるのではないか」と、コグデル氏は述べた。(c)AFP/Jean-Louis Santini