【2月12日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は10日、過去数年にわたってチャンドラX線観測衛星(Chandra X-ray Observatory)が巨大ブラックホール、「いて座A*(Sagittarius A*Sgr A*)」域で観測してきた謎のX線フレアを説明する新研究を示すイラストを公開した。

 この研究によると、地球が属する天の川銀河の中心にある巨大ブラックホール「いて座A*」周辺には、親星から引きはがされた数百兆の小惑星や彗星(すいせい)を含む雲があり、半径6マイル(約9.61キロメートル)以上のサイズの小惑星がブラックホールに吸い込まれるとき、フレアが発生しているという。

 星や惑星など他の物体と接近した小惑星は、「いて座A*」に向かう軌道に乗ることがある。そしてブラックホールから1億マイル(約1.6億キロメートル、地球と太陽の距離と近似)以下に近づいた小惑星は、ブラックホールの潮汐力で破壊されてバラバラになってしまう。

 この小惑星の破片が、いて座A*の方へ向かって流れる高熱の希薄ガスの中を通り抜けるときに摩擦で蒸発し、ちょうど地球のいん石が落下するときに大気との摩擦で燃えるように、発光するという説だ。フレア発生後、小惑星の破片はブラックホールに飲み込まれるという。(c)AFP