【1月25日 AFP】長らくすべての鳥の祖先とされ、昨年、羽毛を持つ恐竜の1つに過ぎなかったとする説が提唱された始祖鳥。その翼は黒かったとする論文が、24日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。

 恐竜に関して、皮膚と羽の色は最大の謎であり、復元図は科学的根拠よりは画家の想像力に大きく委ねられている。

 欧米の研究チームは、始祖鳥の羽の色を調べるため、1861年にドイツで発見された保存状態の極めて良い1億5000万年前の始祖鳥の羽毛化石で、細胞内の色素生成部位であるメラノソームの探索を開始した。

 独光学機器メーカー、カール ・ツァイス(Carl Zeiss)の研究所にある走査型電子顕微鏡で解析したところ、メラノソームを数百個発見。これらを現生鳥類87種のメラノソームと統計的に照合したところ、始祖鳥の羽は95%の確率で黒であることが判明した。

 黒は、カモフラージュとして便利だったか、体を引き立たせたり体温を調節したりするのに役立っていた可能性がある。

 なお、メラノソームの配置と重なり合っている小羽枝は、始祖鳥の羽が現生鳥類の羽よりもはるかに硬く耐久性に優れていたことを示しているという。

 米ブラウン大(Brown University)の進化生物学者、ライアン・カーニー(Ryan Carney)氏は、「始祖鳥が飛行か滑空をしていたと仮定して、メラノソームは羽の構造を補強する役割を果たしていた可能性がある。このことは、恐竜が進化して飛行能力を備える初期段階で、有利に働いたと考えられる」と述べた。(c)AFP