【1月17日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は16日、科学衛星プランク(Planck)が「ビッグバン」の名残に対する史上最大の観測を終えたと発表した。プランクのメイン装置が、予想通り14日に冷却液を使い果たし、運用を停止したという。

 20世紀のドイツの物理学者マックス・プランク(Max Planck)にちなんで名づけられ、約7億ユーロ(約690億円)が投じられた衛星は、2009年5月に打ち上げられた。運用期間は15か月の予定だったが、実際は2倍を超える期間を持ちこたえた。ESAは声明で、「全天走査は最大2回の予定だったが、結局は5回行うことができた」と、誇らしげに述べた。

 プランクは、140億年前のビッグバン直後に放出されたマイクロ波エネルギー、いわゆる宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度のゆらぎを検出することが可能で、初期宇宙の発達過程の解明が期待される。

 なお、CMBの低い温度を検出するセンサーの方は2012年の後半まで稼働することができ、5回の全天走査で得られたデータの補正に活用されるという。

 ESAは、最初の15か月間の観測で得られたデータの一部を来年初頭にも公表し、再来年の2014年には全データを公開したい考えだ。データの分析は、世界中の天体物理学者に委ねられる。ビッグバンの間に何が起こったのか、相反するさまざまな理論の未来は、これで決まるかもしれない。パリ南大学(University of Southern Paris)のジャンルー・プジェ(Jean-Loup Puget)氏は「プランクのデータによって、ある理論グループ全体が消えるかもしれない。それがどれになるのかはまだ分からないがね」と述べた。(c)AFP