【1月6日 AFP】「火星」と「金星」とは、これまで考えられていたよりずっと遠かった――星の話ではなく男女の話である。

 伊トリノ大学(University of Turin)のMarco Del Giudice氏ら欧州の心理学者3人は、新たな手法で男女間の「人となり」の違いを分析した結果、これまで考えられてきた男女間の差異はあまりにも小さかったことが明らかになったとする論文を、4日の米科学誌「プロスワン(Pubblic Library of SciencePLoS ONE)」(電子版)に発表した。

 論文は、「男女間の差異は微々たるものだとの考えは、過去の不十分な手法によって導き出されているため、捨て去るべきだ」と述べている。

■総合的に分析

 研究では、1993年に米国の男女1万人を対象に行われた調査のデータを別の角度から分析した。

 この調査では、心理学者の間では有名な「人格を判断するための16項目の質問」を行い、温かさ、支配性、感受性、用心深さ、自立性、完璧主義の程度などが調べられた。

 研究者らは、各調査項目を男女間で多角的・総合的に比較し、その他複数の特徴も考慮に入れた結果、男女間には大きな隔たりがあることを発見した。これまでは、誤差を修正せずに各項目だけを見た場合、男女間に大きな差異はないと考えられてきた。

 Del Giudice氏と英マンチェスター大学(University of Manchester)のトム・ブース(Tom Booth)氏、同大のポール・アーウィン(Paul Irwing)氏は、「心理学的見地から見ると非常に大きな違いだ」と語る。

 研究チームは、男女間における心理的な差異、さらには生物学的・文化的起源についての科学研究の強固な礎を築くべく、さらなる研究が必要だとした。(c)AFP