【1月5日 AFP】ミツバチに寄生し、「ゾンビ」のような行動をとらせてから死に至らしめるハエを発見したという米国の研究論文が、今週の米科学誌「プロスワン(Public Library of SciencePLoS ONE)」に発表された。「蜂群崩壊症候群」と呼ばれるミツバチのコロニー崩壊の原因を知る手がかりになる可能性がある。

 サンフランシスコ州立大学(San Francisco State University)のジョン・ハファーニック(John Hafernik)教授(生物学)が率いた研究チームによると、今のところこの寄生バエが見つかったのは米カリフォルニア(California)州とサウスダコタ(South Dakota)州に限られているが、増えていることが分かれば北米全体のミツバチ・コロニーの脅威として浮上するかもしれないという。

 この寄生バエの発見は偶然だった。ハーファニック教授はある日、研究用のカマキリの餌として、研究棟の外の照明の下にいたミツバチを研究室に持ち帰ったが、「ハチの入った小瓶をうっかりデスクに放置して忘れてしまった。次に小瓶を見た時には、ミツバチの体をハエのさなぎがびっしりと取り囲んでいた」

 まもなく小瓶のなかのハチは死に始めたが、普通の死に方ではなく、座り込んで体を丸め、縮こまるような姿勢で死んでいった。途中、ハチはどうにかして体を伸ばそうと、脚をばたつかせてもがいていたが、力が入らない様子だった。論文の主著者で教授の研究室に所属する大学院生、アンドリュー・コア(Andrew Core)氏はこう説明する。「ハチたちは体を広げようとしては倒れこんでいた。まさしくゾンビのような動きだった」