【1月5日 AFP】アルバニアで発掘した中世の人骨2体から、現代の感染症であるブルセラ症の痕跡を発見したとする論文が、3日の米学術誌「アメリカ形質人類学会誌(American Journal of Physical Anthropology」に発表された。

 ブルセラ症がアルバニアに、少なくとも中世から存在していたことを示す初めての発見だ。

 10~13世紀の10代男性のものとみられる2体の人骨は、同国ブトリント(Butrint)で発掘された。米ミシガン州立大(Michigan State University)の研究チームが最新のDNA鑑定技術で骨を分析したところ、脊椎骨に顕著な病変が見つかった。当初は結核かと疑ったという。

 ブルセラ症は主に家畜がかかる病気で、地中海沿岸の農村部では一般的な疫病だ。感染した羊やヤギの生肉や非加工乳製品を食べることにより、ヒトにも感染する。

 世界保健機関(WHO)によると、ヒトに感染すると高熱や虚脱感などインフルエンザに似た症状が出ることがある。体重の減少や、骨や関節系の炎症もみられる。

 今回人骨が発掘されたブトリントは、かつてはローマ帝国の巨大な植民都市で、ビザンチン帝国の領土になったこともある。中世に大規模な洪水に遭ったため、見捨てられた地になった。(c)AFP