【12月14日 AFP】(図解追加)欧州合同原子核研究所(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)は13日、「神の粒子」とも呼ばれるヒッグス粒子(Higgs Boson)が存在する兆候が見つかったと発表した。

 ヒッグス粒子は、素粒子に質量を与えたとされる理論上の素粒子で、宇宙の成り立ちに関する謎を解く手がかりにもなると考えられている。現在まで、現代物理学の基礎である標準理論の中の「失われた環」となっている。

 CERNによると、スイス・フランス国境の地下にある大型粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron ColliderLHC)」を使った2つの別の実験(ATLAS実験とCMS実験)の中間結果を分析したところ、いずれも125ギガ電子ボルト(GeV)付近でヒッグス粒子が存在する兆候が得られた。GeVは素粒子の質量を表す単位で、1GeVは陽子1個の重さに相当する。

 なお、両実験ともに、ヒッグス粒子が存在する確率はこれまでで最も高い99%という結果が得られたが、「発見」と呼べるためにはさらに高い確率が必要だ。

 ATLASグループの研究者は「確定的な結論を出すには時期尚早。さらにデータを集める必要がある」としながらも、ヒッグス粒子の存在の有無に関する結論は12か月以内には出せそうだと述べた。

 CERNでは、ヒッグス粒子が存在するとすれば、116~130GeVの狭い領域の中にありそうだという見解を示している。(c)AFP