【12月9日 AFP】ハイチや台湾で、台風やハリケーンが大地震を誘発した証拠を確認したとの研究結果を、米大の研究チームが8日、発表した。

 米マイアミ大学(University of Miami)のシモン・ウドウィンスキ(Shimon Wdowinski)准教授(海洋地質学・地球物理学)とフロリダ国際大学(Florida International University)の研究チームは、過去50年間に台湾とハイチで発生したマグニチュード(M)6.0以上の大地震についてデータを分析。地震発生前の4年以内に被災地が激しい豪雨を伴う大型熱帯低気圧に見舞われていることを確認した。

 ウドウィンスキ准教授は「豪雨によって起きた多数の土砂崩れや侵食のため、地表付近の地盤が動き、負荷が取り除かれて断層がずれやすくなった」と、米サンフランシスコ(San Francisco)で開催中の米国地球物理学会(American Geophysical Society)の総会で説明した。

 たとえば、2009年に死者・不明者689人を出し台湾史上最悪の自然災害となった台風8号「モーラコット(Morakot)」では、降水量が3000ミリに達し、村が丸ごと土砂に飲み込まれる惨事も数件起きた。この年、台湾ではM6.2の地震が起き、翌10年にもM6.4の地震が発生した。

 1996年に中国と台湾で数百人が犠牲となった台風9号「ハーブ(Herb)」では、98年にM6.2、99年にM7.6の大地震が相次ぎ発生。さらにさかのぼると、69年の台風17号「フロッシー(Flossie)」でも、3年後の72年にM6.2の地震が起きていた。

 さらに、2010年1月に死者22万5000人を出したM7.0のハイチ大地震では、地震発生の1年半前、わずか25日間のうちに2つのハリケーンと2つの熱帯暴風雨に教われていたことが分かった。

 研究チームでは、活断層を上から抑えていた地表の地盤が、豪雨や土砂崩れで押し流され、重みが取り除かれたために地震が誘発されるとの仮説を立てている。ただ、この仮説が当てはまるのは、雨水で大量の土砂が押し流されやすい山地などの斜面に断層帯がある場合に限られる。

 研究チームでは今後、日本やフィリピンについても地震と気象条件の関連性を調査する計画だ。(c)AFP

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