【11月25日 AFP】水が凍る温度、氷点は、必ずしも摂氏0度ではない。

 水は、氷点下でも液体として存在することができる。これを「過冷却状態」と呼ぶ。その原理は次のとおりだ。

 水が氷になるためには、水の中に氷の「種」が必要だ。すなわち、その周りに結晶が集まる核となるような結晶だ。だが、核を形成する不純物や粒子が全くない純水の場合は、氷に変わることが難しい。

 これまで、過冷却水が凍る最低温度はマイナス41度とされてきた。科学者らは、実際はこれよりも低いのではないかと考えてきたが、確認はできなかった。こうした低温では水は即座に結晶化してしまうため、結晶化せずに残った水の特性を正確に測定することが不可能だからだ。

■コンピューターで再現

 そこで米ユタ大(University of Utah)の化学者、バレリア・モリネロ(Valeria Molinero)氏とエミリー・ムーア(Emily Moore)氏は、コンピューターを使って過冷却水の動きを顕微鏡レベルでシミュレーションし、その成果を23日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 このシミュレーションで、水の熱容量と密度、圧縮率を考慮に入れた上で、3万2768個の水分子が冷却されるとどうなるかを再現したところ、シミュレーション上での数千時間後に結論が出た。

 水が絶対的に凍る温度は、マイナス48度だった。

 水はこの温度に近づくと、密度が低くなって圧縮しやすくなり、構造が変化する。その結果、それぞれの分子は別の分子4個とゆるく結合し、ピラミッド形の4面体を作る。

 2人は、この状態を「中間氷」と名付けた。液体の構造でもなく、完全な氷の構造でもない、その間という意味だ。

■温暖化予測にも有用

 この研究には、科学的好奇心を満たす以上の意味がありそうだ。

 地球温暖化を研究している大気科学者らは、水が凍って氷に結晶化する温度とその速度を知る必要がある。雲の中には最低でマイナス40度の水分が含まれていることが分かっている。

「大気中の水分のどれだけの量が液体で、どれだけの量が結晶化した状態かを知ることは、温暖化を予測する上で重要だ」と、モリネロ氏は指摘した。(c)AFP