超大陸ゴンドワナの一部か、インド洋海底に「沈没島」発見
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【11月18日 AFP】数億年前の南半球に存在していた超大陸ゴンドワナ(Gondwana)。この一部だったとみられる二つの「沈没した島」を深海で発見したと、インド洋一帯を調査していたオーストラリアの研究チームが17日、発表した。現在の世界の大陸が形成された過程を知る上でのヒントとなりそうだ。
二つの「沈没島」は、同研究チームが行った10月の調査の際、オーストラリア沖西方1600キロ、深さ約2000メートルの海底で発見された。「島」の岩石には、浅水域でみられる生物の化石が含まれていた。
これについて、研究チームの1人、豪シドニー大学(Sydney University)の地球物理学者ジョー・ホイッテカー(Jo Whittaker)氏は、二つの島は元は大陸の一部だったか、海面上にあったことを意味するもので、海底火山の活動によってできた可能性は低いという。
■ 二つの島が大陸分裂を究明する鍵に
ホイッテカー氏は、二つの島の発見を、約1億3000万~8000万年前にゴンドワナ大陸が現在のオーストラリア大陸、南極大陸、インド亜大陸へと分かれた過程の解明に役立つものだと述べている。同氏が特に関心を寄せるのは、元はオーストラリア大陸とつながっていたインド亜大陸が、最初は北西へ漂流し、その後、急角度で北上。そこで北東部沿岸がユーラシア(Eurasia)大陸と衝突し、ヒマラヤ山脈(Himalayas)を形成することになるプレート運動の過程だ。
研究チームは現在、海底2000メートルにある島の一方の断崖から採取した砂岩と花こう岩の標本について年代測定を行っている最中だが、同チームでは最大で10億年前のものだろうとみている。
また、この島が本当にオーストラリア大陸から分離したものか究明するために、これらの岩石標本と豪州西部沿岸の標本とを比較する予定だ。
だが、ホイッテカー氏によれば、同様の比較はインド大陸については不可能だ。比較対象となるべきインド大陸の「沿岸」は、今ではヒマラヤ山脈の一部となっているからだ。
一方、インド大陸の東部沿岸は、かつては南極大陸とつながっていたと考えられている。
■ 「沈没島」は大陸地殻のかけら
ホイッテカー氏は当時の大陸分裂を、「粘着質の物体」を引っ張った場合にたとえる。今回、見つかった「沈没島」は、引っ張られたときに尾を引いて間に落ちるようにして残った薄い大陸地殻のかけらで、二つ合わせるとスコットランドと同程度の面積になると説明している。
同氏によると、プレート・テクトニクス理論は1950年代に認められたばかりの比較的、新しい科学で、研究者たちは今も、地球上の大陸が何によって動かされ、移動方向を変えるのかを究明しようと励んでいる。
オーストラリア大陸は年間7センチの速さで北へ向かって移動している。これは、インド亜大陸の海岸線沿いで二つのプレートが接触する沈み込み帯の影響によるものとみられる。2004年のスマトラ島沖地震も、この沈み込み帯と関連したものだった。
その一方で、南極大陸はまったく移動していない。だからこそ、ホイッテカー氏いわく、ゴンドワナ大陸の一部だった可能性がある二つの「沈没島」の発見の意義が、いっそう深いものとなるのだ。(c)AFP/Amy Coopes