【10月18日 AFP】胚性幹細胞(ES細胞)に関する研究論文のねつ造などで有罪判決を受けた韓国の黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)元ソウル大教授が17日、コヨーテのクローン8頭の作製に成功したことを明らかにした。

 同日、ソウル(Seoul)から南に50キロの平沢(Pyeongtaek)の野生動物保護施設で京畿道(Gyeonggi Province)の金文洙(キム・ムンス、Kim Moon-Soo)知事がクローンコヨーテの引き渡し式を執り行い、黄氏自らが8頭を引き渡した。

 金知事の事務所が出した声明によると、核を取り除いたイヌの卵子に、コヨーテの皮膚から採取した細胞の核を入れ、この卵子からクローンを作製した。最初のクローンコヨーテは今年の6月17日に誕生したという。コヨーテのクローン作製は京畿道との共同プロジェクトとして行われた。

 金知事はツイッター(Twitter)で、この種のクローン技術を世界で初めて使用した人物だとして黄氏を称賛した。知事のつぶやきはこう続いている。「現在、リカオンのクローン化が進行中。将来はマンモスのクローン作製に挑む予定」

 韓国の科学者らはこれまでに、ウシ、ネコ、イヌ、ブタ、オオカミのクローン化に成功している。

■世界初のクローン犬では承認

 黄氏は2004年、ヒト胚のクローンを使ったヒトのES細胞の作製に世界で初めて成功したとする論文を米科学誌サイエンス(Science)に発表し、一躍時の人となった。

 だが翌05年11月、研究チームの一員から卵子を採取していたことが判明。倫理規定違反に問われ、名声は地に堕ちた。

 06年1月には、調査チームが「黄氏は幹細胞を1つも作製しておらず、論文はねつ造されたもの」と結論付けた。

 09年には、研究費を横領した罪やヒトの卵子の採取で倫理規定に違反した罪で執行猶予のついた懲役2年の判決を受けた。だが昨年12月の控訴審で、執行猶予のついた懲役1年6月に減刑されている。

 黄氏が05年に誕生させた世界初のクローン犬「スナッピー(Snuppy)」の研究成果については、正当性が確認されている。(c)AFP