【10月3日 AFP】酸素なしで生きる細菌「嫌気性アンモニウム酸化(Anammox)細菌」が、尿に含まれるアンモニアをロケット燃料のヒドラジンに変換するメカニズムを分子レベルで解明したと、オランダの研究チームが英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

「Anammox細菌」は1990年代に初めて発見され、大きな話題を呼んだが、そのメカニズムはこれまで解明されていなかった。

 ラドバウド・ナイメーヘン大学(Radboud University Nijmegen)水・湿地研究所の微生物学専門家、マイク・ジェッテン(Mike Jetten)氏らのチームはこのほど、「ヒドラジンを生成する複合タンパク質を突き止めることに成功した」という。

 ジェッテン氏の研究には当初、米航空宇宙局(NASA)が関心を示していたが、製造されるヒドラジン量が少なく「とても火星までは行かれない」ことが分かってから手を引いてしまった。しかしジェッテン氏は「現在、この複合タンパク質の結晶構造を正確に解明しようとしているところだ。理解が進めば、生成過程を改善することもできるかもしれない」と語っている。

 Anammoxは、アンモニア分解のエネルギー効率がとても良いため、現在は浄水技術として商業利用されている。また、下水の汚泥処理に活用すれば、空気をポンプで送り込むことなく汚泥処理が可能となるうえ副産物としてメタンを得ることもでき、バイオ燃料への適用の可能性も秘めている。(c)AFP