【9月30日 AFP】水星の北極付近では今から40億~35億年前、巨大な地割れができて溶岩流が川のように流れ、平原を作ったとする論文が、29日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 水星の北極にある滑らかな平原については、火山活動により形成されたという説が30年以上前から主流になっていたが、3月中旬に水星の周回を始めた米航空宇宙局(NASA)の水星探査機メッセンジャー(Messenger)から送られてきたデータにより詳細が明らかになった。

 論文によると、溶岩を流出させたのはいわゆる火山ではなく、地殻にできた裂け目のような火口孔。溢れ出した燃えたぎる溶岩流が、水星表面の6%、米国の面積の60%ほどの一帯に平原を形作った。溶岩は地殻表面を川のように流れ、深さ2キロに及ぶ渓谷や涙のしずくの形をした尾根を形成したという。

 論文共著者の米ブラウン大(Brown University)のジェイムズ・ヘッド(James Head)教授(地質学)は、「全長25キロもあるこれらの巨大な火口孔からは、非常に高温の溶岩が大量に噴き出したと思われる」と述べた。

 メッセンジャーは2004年に打ち上げられ、3回のフライバイを経て3月18日に軌道に乗った。今後も水星に200キロまで接近する軌道を12時間で周回し続ける。NASAは、メッセンジャーによる探査で水星の表面組成がさらに明らかになることを期待している。(c)AFP/Kerry Sheridan