【8月13日 AFP】生物のDNA(デオキシリボ核酸)に必要な構成要素の一部は炭素質の隕石(いんせき)によって地球にもたらされた――。米航空宇宙局(NASA)が資金援助した隕石に関する新たな研究結果が、8日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 原始生命の誕生に必要な物質はどこからやってきたのか。この長い論争において、少なくとも一部の物質は隕石によってもたらされたとする説が、今回の論文で一層優位に立った。

 研究チームは、有機物が多く含まれている炭素質コンドライト(隕石)11個について、高度質量分析計を使ってDNAとRNAに欠かせない核酸塩基の存在を調べた。
 
 その結果、3個の核酸塩基(プリン、6,8-ジアミノプリン、2,6-ジアミノプリン)を発見。これらは炭素質コンドライトの内部に広く分布していた上、落下地点の土壌や氷からは有意な濃度が検出されなかった。さらに、この3つは地球上の生物ではまれに存在するか全く存在しないという。

 研究に参加した米カーネギー研究所(Carnegie Institute)のジム・クリーブス(Jim Cleaves)氏は、「地球上であまり見られない核酸塩基が隕石から見つかったということは、これらの核酸塩基が地球外に起源を持っているという説を強力に支持するものだ。隕石は分子の『道具箱』のようなもので、生物誕生に不可欠な構成要素を地球にもたらしたのではないか」と述べた。(c)AFP