【8月12日 AFP】米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)などの国際研究チームは11日、炭よりも黒い系外惑星を発見したとする論文を英国王立天文学会(Royal Astronomical Society)の専門誌「Monthly Notices」に発表した。

 この惑星は5年前に発見され「TrES-2b」と名付けられた。研究チームは米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「ケプラー(Kepler)」でこの惑星を観測した。TrES-2bは木星ほどの大きさの巨大ガス惑星で、りゅう座の方向にある地球から約750光年離れた恒星「GSC 03549-02811」の近くを公転している。表面に降り注ぐ主星の光の反射率は1%未満で、黒のアクリル絵の具の反射率よりもはるかに低い。

 同センターのデービッド・キッピング(David Kipping)氏は、「全く異質な世界です」と表現した。

■謎の惑星

 TrES-2bは恒星からわずか500万キロの距離を公転している。地球・太陽間が1億5000万キロ、木星・太陽間が7億7800万キロであることを考えると恒星まで極めて近く、大気の温度は1000度以上に熱せられている。大気の特徴は気化したナトリウム、カリウム、酸化チタンのような光を吸収する物質の存在を示しているが、これらの物質はどれも惑星の黒さを説明できないという。

 米プリンストン大(Princeton University)のデービッド・スピーゲル(David Spiegel)氏は、「この惑星がなぜ並外れて黒いのかはまだわかっていない。だが、完全に漆黒というわけではない。表面が超高温なので、燃えさし、あるいは電気ストーブのコイルのように、かすかな赤い光を発している」と話した。

 なお、TrES-2bは月が地球に常に同じ面を向けているのと同じように、常に同じ面を恒星に向けて公転していると考えられるという。(c)AFP