【8月5日 AFP】ヘリコプターのような垂直離陸やホバリング、市街地の狭い路地の移動などができるビーチボールサイズの空飛ぶ偵察ロボットを、防衛省技術研究本部が開発した。

「球形飛行体」と呼ばれているこの空飛ぶ物体は、映画『スター・ウォーズ(Star Wars)』シリーズに出てくる兵器「デス・スター(Death Star)」に見かけは似ているが、兵器ではなく、ビデオカメラで撮影したライブ映像を送信することが目的だ。

 開発を手がけた佐藤文幸(Fumiyuki Sato)技官によると、このような球体の飛行物体は世界初。現在の試作機は7号機で、プロペラとモーター、飛行状態を調節するダクト翼、舵面などで構成されている。球形に組まれた骨格のようなシールドで保護されており、壁にぶつかったり地面に墜落しても損傷しにくい。重量はわずか350グラム、全長42センチで、最高時速は60キロメートル。

 部品や材料は全て、東京・秋葉原の電気街や100円ショップ、オンラインショップなどで買えるものばかりで、総製作費は11万円。中心部のモーターを覆っているのはペットボトルだ。

 ただ、実用化するにはまだ自動操縦機能や、悪天候への耐性といった課題が残っている。また現在の試作機では、遠隔操作する人の視界の範囲内でしか動かせないため、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所での作業などへの使用はできないそうだ。

 改良研究は続いており、将来的には車列の上空からの警戒や、窓越しの偵察といった使用場面が想定されているほか、ビルの間のような狭い空間や段差でも関係なく移動することができるので、災害地域での救助捜索活動にも役立てたいという。(c)AFP/Miwa Suzuki