【7月16日 AFP】上司の給料をうらやむことなかれ─給料の最も低い社員と同じくらい、彼のストレスは多いかもしれないのだ。

 米プリンストン大(Princeton University)のチームは14日、野生のヒヒを9年間にわたって観察した結果を米科学誌サイエンス(Science)に発表したが、これによると、メスとつがいになったり食料を得たりする上では、序列が最高位のヒヒは有利だが、彼らは序列が最下位のヒヒと変わらない強いストレスを感じているという。

 研究ではケニアの野生のヒヒの糞を採取し、男性ホルモンのテストステロンと、ストレスホルモンとして知られるグルココルチコイドを測定した。この結果、オスのヒヒのグループの中で、序列が1位のヒヒのストレスホルモンのレベルは、2位のヒヒに比べてずっと高く、最下位のヒヒと同程度だった。

 序列が最高位と最下位のヒヒでは、ストレスレベルは同程度でもその原因は異なる。最高位のヒヒは地位を守るための戦いに多くのエネルギーを使い、なるべくたくさんのメスと交尾をして、ストレスをためている。一方で、最下位のヒヒは食料を探すために四苦八苦している。

 そんな中、序列2位のヒヒは、ストレスはそう感じずに、トップのヒヒと同じくらいメスの注目を浴びている。ただし「生殖能力を完全に発揮する」機会が得られる可能性は、「予想を少々上回る」程度だという。(c)AFP