【6月9日 AFP】米カリフォルニア工科大(California Institute of TechnologyCaltech)の研究チームは、けた外れに明るい全く新しいタイプの超新星が深宇宙で6個見つかったとする論文を、8日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。どれも初期宇宙で爆発した星だという。

 研究は、チームを率いるロバート・キンビー(Robert Quimby)氏が2005年に太陽より1000億倍明るく、これまでの最高光度を2倍も上回る超新星「SN 2005ap」を発見したことがきっかけで始められた。ほどなくしてハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が同じく奇妙な化学スペクトルを持つ超新星「SCP 06F6」を発見したため、研究体制を強化。カリフォルニア州、ハワイ島、カナリア諸島の地上望遠鏡も動員した徹底的な観測では、わい小銀河と呼ばれる数十億個の星が集まった小型銀河で、水素が少ないなど組成が従来とは違う超新星が新たに4個発見された。

 超新星の大半は、大質量星が燃料の枯渇により重力崩壊を起こし、爆発したもので、残骸は中性子星かブラックホールになる。また、まれではあるが、年老いて冷えつつある赤色巨星から高温・高密度の白色わい星へ大量の物質が流れ、白色わい星がその重みに耐えかねて重力崩壊を起こし、爆発するケースもある。

 だが、研究チームが分析した6個の超新星はいずれも、上述のような超新星の化学的特徴は持ち合わせていなかった。また、いずれも2万度に達する超高温で、衝撃波も秒速約1万キロだった。

 さらに、消滅に要する期間も50日程度と長かった。通常の超新星の場合、放射性崩壊がもたらす明るさは数日から数週間かけて消えていく。

 新たに見つかった超新星がなぜこれほど明るいのかは不明だ。元の星は水素を含まないガスを放射状に吹き飛ばす超巨大なパルサーで、超新星爆発を起こした時にこれらのガスが超高温に熱せられたためではないかという説がある。(c)AFP