【6月8日 AFP】健康なミツバチのコロニーで、これまでに知られていなかった4つのウイルスを発見したとする研究成果が7日のオンライン科学誌「PLoS ONE」に発表された。世界の一部地域で起こっているミツバチの大量死の謎の解明につながる可能性もある。

 これらのウイルスは、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)の研究チームが作物の受粉のために米国各地を移動した7万以上のミツバチの巣と20コロニーを10か月間追跡調査した結果、発見された。

 これらのコロニーは見た目にも健全で、2006年以降米国のミツバチを最大で30%も死滅させた蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれる謎の大量死もなかった。健康なコロニーで発見されたウイルスを理解すること、そして健康なコロニーにおいてウイルスがどのように広がっていくかを理解することは、ミツバチの大量死に関する研究の基礎になる。論文を執筆した同大のジョー・デリシ(Joe DeRisi)教授は「通常の状態を知らなければ大量死についても理解できない」と言う。

 新しく発見された4種のウイルスのうち1種は、シナイ湖ウイルスと呼ばれるウイルスの仲間で、ミツバチの巣にみられる微生物の中で主要な地位を占めていることが分かった。

 なお、今回の研究で明らかになった感染のパターンから、一つではなくいくつかの要因が相まって蜂群崩壊症候群を起こしていることが疑われるという。これは、ウイルスやバクテリア、寄生虫、殺虫剤、環境破壊に起因した栄養不足などの要因が重なったと見る各国の専門家の意見とも一定している。

 研究では、これまでカリフォルニア州以外のコロニーでは発見されていなかったバクテリア6種、菌類6種、ダニ4種、そして昆虫に寄生するタイコバエも見つかった。(c)AFP