【5月17日 AFP】太陽系で火山活動のある場所は地球と木星の衛星イオ(Io)だけだが、科学者たちは、イオの地下に、噴火を引き起こすマグマの海を発見した。

 イオは太陽系で最も火山活動が活発な場所で、地球の100倍もの溶岩が発生している。12日の米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載された論文によると、米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオ(Galileo)が取得したデーターから、その溶岩が発生する仕組みに新たな光があてられた。

 広大なマグマの海は、イオの地表から30~50キロメートル地下にあった。NASAによると、「温度はおそらく摂氏1200度を超える」という。

 イオの火山は1979年、NASAの惑星探査機ボイジャー(Voyager)により発見された。NASAは、イオが巨大な木星を周回する際に木星の重力により圧縮や伸長が行われることが、イオの火山活動のエネルギー源だと考えてきた。

 論文の主執筆者、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)の地球物理学研究者、クリシャン・クーラナ(Krishan Khurana)氏は、「イオのマグマの由来がついに判明したことに科学者たちは興奮している」と述べた。

 マグマの海は「地球の地表上で見つけられる典型的な岩石と比較して、電気伝導性が数百万倍高い」という。クーラナ氏は、「ガリレオの磁場データで観測された奇妙な数値の一部についても、これで説明ができる」と述べた。

「ちょうど空港の金属探知機が発する磁気がポケットの中の硬貨で跳ね返り、そこに金属があることを知らせるように、木星の回転磁場がイオの内部にあるマグマで常にはね返り続けている」と、クーラナ氏は説明した。(c)AFP