【4月11日 AFP】米フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)の国際研究チームがこのほど、現在の素粒子物理学で想定されていない完全に未知の粒子を発見したかもしれないと発表した。自然界に存在する新たな力の可能性があるという。

 物質がなぜ質量を持つのかという物理学上最大級の難問の1つを解く手がかりが見つかるかもしれない。

 研究チームの物理学者、ジョバンニ・プンツィ(Giovanni Punzi)氏は6日、「われわれの知っている力とは異なる、新たな力がみつかるかもしれない」とAFPに語った。「確認されれば、基本相互作用の新たな世界が開ける」

 未知の粒子は、米イリノイ(Illinois)州にあるフェルミ研究所のテバトロン加速器(Tevatron Collider)での実験中に観測された。この粒子は、「神の素粒子」と呼ばれ物質の質量の起源とされる仮説上の粒子「ヒッグス粒子」ではないという。「ヒッグス粒子はすでに存在が想定されているが、これは少しばかり想定を超えた、新たな力だ」(プンツィ氏)

 プンツィ氏によると、ヒッグス粒子は崩壊すると重いクォークとなるが、新たに観測された粒子は崩壊して通常のクォークとなり「異なる特徴を示した」という。

 ただ、現在わかっているのは「ヒッグス粒子とは違う」という点だけで、研究チームでは今後数か月にわたって陽子と反陽子を衝突させる実験を続け、分析を行っていく。フェルミ研究所の元広報で現在はカナダの研究所に所属するナイジェル・ロッキャー(Nigel Lockyer)氏は、「数か月以内には結果がもっとはっきりするだろう」と話している。

 フェルミ研究所のテバトロン加速器は、欧州合同原子核研究機構(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)の世界最大の粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron ColliderLHC)」に次ぎ、世界第2位の規模を誇る。(c)AFP/Kerry Sheridan