【4月8日 AFP】高速道路の大気汚染物質が、記憶をつかさどる脳神経に損傷をもたらすとした南カリフォルニア大学(University of Southern California)の研究チームによる研究結果が7日、米医学誌「Environmental Health Perspectives」に掲載された。 

 ケイレブ・フィンチ(Caleb Finch)氏らの研究チームは、化石燃料を燃やして人工的に作り出した大気汚染物質や、古い自動車の一部や路面がはがれるなどした物質などで汚した空気の中に、マウスを週15時間さらすことを10週間続けた。

 汚染物質の粒子は人間の髪の毛の太さの1000分の1ほどで、車のエアフィルターでとらえることはできないものだが、マウスの脳には大きな損傷がみられたという。

 実験では、大気汚染環境にさらしたマウスの脳には早期老化やアルツハイマー病(Alzheimer's)に関連する炎症が認められたことから、研究チームは、高速道路の大気汚染が、学習や記憶をつかさどる脳神経領域に「深刻な損傷」を及ぼすと結論付けた。

 フィンチ氏は、「(大気汚染物質は)目には見えないが、吸い込むことで脳神経細胞に影響をおよぼす。このため、高速道路の大気によって長期的には脳の健康問題を引き起こす可能性がある」と説明している。(c)AFP