【4月4日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は3月29日、水星探査機メッセンジャー(MESSENGERMErcury Surface, Space ENvironment, GEochemistry and Ranging)に搭載された広角カメラが撮影した水星表面の写真を公開した。水星の周回軌道上からの写真撮影に成功したのは史上初めて。

 この写真の下辺から上辺に向けて、ホクサイ(北斎)クレーター(フレーム外)から噴出した物質が、暗い影となって見える複数のクレーター上を覆っている。

 メッセンジャーの広角カメラは11のフィルターを備えているが、画像のデータ量を制限して記憶容量を節約するため、水星周回軌道上では8つのフィルターだけを使う予定だ。ほかにも、メッセンジャーは軌道上を高速で移動しているため、1か所で11回の露光を行うことが難しいという事情もある。

 色の違いから、場所ごとに科学組成が異なることも分かる。例えば、かんらん石や輝石は長い波長の光をよく吸収するという性質があるため、8つのフィルターが捉えた反射光のスペクトルを調べれば、その存在を読み取ることができる。

 広角カメラで撮影した画像は、より多くの波長の反射光分析が可能な水星大気・表面組成スペクトロメーター(Mercury Atmospheric and Surface Composition SpectrometerMASCS)の観測結果と合わせて利用される。ただし、MASCSが1回ごとに分析できるのは水星表面上の1点だけだ。(c)AFP