【3月2日 AFP】サメが聴覚、嗅覚(きゅうかく)、動作検知にすぐれていることはよく知られているが、一部の種には遠く離れた目的地に正確に到達できる能力があるとする論文が、2日の英科学誌「Journal of Animal Ecology」に発表された。

 米フロリダ自然史博物館(Florida Museum of Natural History)の研究チームは、イタチザメ8匹、ツマグロ9匹、オナガザメ科のサメ15匹に発信器を付けて太平洋のハワイ(Hawaii)沖やパルミラ環礁(Palmyra Atoll)あるいは南カリフォルニア沖に放し、7~72時間追跡した。

 ツマグロはすべて、狭い行動圏内を行ったり来たりしていた。一方でイタチザメとオナガザメは長距離を直線的に移動し、明確な方向感覚に基づいて泳いだとみられる場合が多かった。

 追跡期間中の移動距離はイタチザメが約8キロで最も長かった。イタチザメは50キロ離れた目的地にも到達できるという研究もある。直線的な移動は海の地形を熟知しているサメならではの方法で、餌などのターゲットへ直線的に向かうことでエネルギーを節約できる。

 それではなぜ、サメは正確に移動できるのだろうか。サメは海流や海水温などの情報が織り込まれた「認知地図」を持っている、地球の磁場で方向を確認している、などの説がある。(c)AFP