【3月2日 AFP】ロシアのセルゲイ・イワノフ(Sergei Ivanov)副首相は2月28日、過去3か月で2度衛星の打ち上げに失敗したロシア宇宙庁(Roskosmos)が「幼稚なミス」を繰り返していると厳しく批判した。

 前年12月、衛星利用測位システム「グロナス(Global Navigation Satellite SystemGLONASS)」の人工衛星グロナスM(Glonass-M)3基の打ち上げに失敗し、米ハワイ(Hawaii)沖の太平洋上に墜落した。原因は、燃料量の単純な計算ミスだった。ことし2月にも、新型軍事衛星「Geo-IK-2」の軌道投入に失敗し、国防目的には使用できなくなってしまった。

 イワノフ副首相は宇宙庁高官らとの会合で、「グロナスの打ち上げ失敗は象徴的だ。詳しいことは言わないが、これはミスだ。それもただのミスではなく、幼稚で、深刻な結果を生んだミスだ」と語った。「最近のミス―グロナスやGeo-IKの打ち上げ失敗のことだ―を繰り返すことは許されない」

 宇宙庁のアナトーリ・ペルミノフ(Anatoly Perminov)長官は、グロナス打ち上げ失敗について、新技術の管理が不十分だったことが原因だと述べた。

■宇宙船建造数も未達、保険も不十分

 イワノフ副首相は、2010年には11機を予定していたものの、実際には5機しか建造されず、建造の遅れが原因で民生目的の6機が2010年に打ち上げられなかったと指摘し、宇宙庁の宇宙船の建造数が目標に達しなかったことも批判した。

 さらに前年はグロナスの打ち上げが失敗した場合に備えて、打ち上げ費用の全額をカバーする保険がかけられていなかったことも批判した。

 旧ソ連の宇宙飛行士、ユーリ・ガガーリン(Yuri Gagarin)が人類で初めて宇宙を飛んでから50周年となる4月を祝おうとしていた矢先だけに、一連の失敗でロシアが受けた痛手は大きい。

■シャトル退役後、ロシアの責任はいっそう重く

 ロシアは2月26日、同国北部のプレセツク(Plesetsk)宇宙基地からグロナス衛星の打ち上げに成功し、ある程度は誇りを取り戻した。

 ソ連崩壊後、ロシアの宇宙開発は予算を大幅にカットされた。そのため、宇宙庁はこれまでに複数の「民間人宇宙旅行者」を有償で国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に運び、予算確保に努めてきた。

 2011年に米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルが退役すると、ISSに宇宙飛行士を運ぶ手段はロシアの宇宙船ソユーズ(Soyuz)だけになり、ロシアの責任はいっそう重くなる。(c)AFP/Stuart Williams

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