【2月24日 AFP】米国物理学会(American Physical Society)と米先進材料学会(Materials Research Society)は18日、米国はレアアース(希土類元素)の備蓄よりも、エネルギー関連の研究に力を注ぐべきだと提言する共同報告書を発表した。

 報告書は、レアアースのほか、白金族やその他の元素を加えた計29の元素をエネルギー関連の重要元素として挙げ、米国内の埋蔵量が少なく他国へ依存せざるをえない元素を備蓄するよりも、ソーラー・パネルや風力発電機、電気自動車、電子機器のリサイクル強化などに関する研究を推進すべきだと提言した。

 ハイテク機器の製造に不可欠なレアアースの世界生産量の9割を占める中国がレアアース関連の規制を強化していることから、各国は中国がその優位性を乱用するのではないかと警戒している。しかし、報告書の共同執筆者であるマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)のロバート・ジャフェ(Robert Jaffe)教授は、「報告書で挙げた元素の多くは中国に集中しているわけではないので、中国とそれ以外の国が対立するという構図にはならない」と言う。

 米エール大(Yale University)産業エコロジーセンター(Center for Industrial Ecology)のトーマス・グレーデル(Thomas Graedel)所長も、中国にあらゆる資源があるわけではなく、例えば太陽電池セルの原材料は少ないと説明し、「今日のテクノロジーは世界規模なので、材料ビジネスも世界規模になる。どの国もある程度は他国に頼らざるを得ない」と述べた。(c)AFP