【2月7日 AFP】野生のカキが急速に減少しており、カキの群落「カキ礁」のうち85%が病原体や乱獲により失われたとする報告書が、米国生物科学学会(American Institute of Biological Sciences)の専門誌「バイオサイエンス(BioScience)」に掲載された。

 報告書を発表したのは米カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)のマイケル・ベック(Michael Beck)氏が率いる国際研究チーム。自然保護団体「ネイチャー・コンサーバンシー(Nature Conservancy)」などの研究者も参加して、40の地域でカキの生息環境を調査した。調査対象の地域には144か所の湾がある。

 世界の野生のカキのうち、およそ75%が北米大陸の5か所に生息している。研究チームによると、調査した全地域平均で、カキ礁のうち最高で85%が失われたと推計された。南アフリカや中国、日本、朝鮮半島などのカキ礁は調査の対象外だった。

■禁漁も提言

 カキは水の不純物をろ過する機能があり、生態系にとっても重要な一方で、付近住民に食料と職を提供する。

 底引き網漁やしゅんせつなどでカキ礁の形が崩れることが、ストレスにさらされやすい環境を作り、カキの個体数減少のきっかけとなっていることが多いという。また、ときには、個体数が減少したカキ礁に、外来種のカキが持ち込まれことがきっかけで、病原体が入り込んで在来種が減る場合もあった。

 研究チームは、以前と比べて10%以下に縮小したカキ礁では、個体数が増加するまで漁獲を中止するべきだと提言した。(c)AFP