記憶定着には「すぐ睡眠」が効果的、独研究
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【1月24日 AFP】新しく覚えた詩やカード手品、代数方程式を忘れないようにするためには、覚えたあとにすぐ寝るのが良いとの驚きの研究結果が、23日の米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」に掲載された。
研究を発表したのは独リューベック大学(University of Lubeck)のスザンヌ・ディーケルマン(Susanne Diekelmann)氏ら。睡眠中の方が、覚えたての記憶(近時記憶)を改変したり混乱させたりする出来事に対して、起床時よりも強い抵抗力を持つことが実験で明らかになったという。
近時記憶は脳の海馬に蓄えられ、すぐには定着しないことがこれまでの研究でわかっている。また、記憶直後にその記憶を再活性化することで、記憶が脳内のハードディスクドライブである新皮質に移り、長期的に保管されることがわかっている。
だが、起床時に記憶を再活性化しようとすると、記憶の想起が不安定な状態に置かれることになる。たとえば、ある詩を暗記した後で次の詩を暗記し始めてから、1つめの詩の記憶を再活性化しても長期記憶に保管されにくくなる。
■睡眠は記憶定着を妨害されにくい
研究チームは、この起床時の記憶保管の妨害が、睡眠中にも同様に起きるのかどうかを調べた。
実験では、まず、ボランティア24人に、動物や日常的に目にする物体を描いた15種類のカードの図柄を記憶してもらった。記憶する間、ボランティアらはわずかに不快感のある臭気にさらされた。
40分後、ボランティアの半数には、1度目のカードと少しだけ図柄の異なるカード群を記憶してもらった。この際、1度目の実験でかいだ臭気を再度かいでもらった。これは1度目の実験を思い出す効果を狙ったものだ。
一方、残りのボランティアには1度目の実験の臭気にさらされた状態で軽い睡眠(ノンレム睡眠)を取った後に2度目のカードを記憶してもらった。その後、両グループに1度目に覚えたカードについてテストを行った。
驚くべきことに、睡眠したグループの方が、睡眠しなかったグループよりも良い結果となった。睡眠しなかったグループは60%の正解率だったが、睡眠したグループの正解率は平均85%に上った。
■睡眠直後から記憶保管を開始
論文主執筆者のディーケルマン氏は「記憶の再活性化は、睡眠時と起床時では全く違った効果を及ぼした」と述べた。
同氏によると、脳の画像分析をしたところ、睡眠後わずか数分で海馬から新皮質への新情報の移動が始まっていた。40分の睡眠後には、新たな記憶に妨害されない長期保管の領域に、十分な量の記憶が保管されたという。
記憶の固定に短期間の睡眠が効果的であるとの研究結果は、語学学習など、記憶と関連性の高い活動にとって意味があるだろうと、ディーケルマン氏は述べる。また、研究結果から、心的外傷後ストレス症候群に対する新たな対処法も導き出すことができるだろうと指摘した。(c)AFP/Marlowe Hood
研究を発表したのは独リューベック大学(University of Lubeck)のスザンヌ・ディーケルマン(Susanne Diekelmann)氏ら。睡眠中の方が、覚えたての記憶(近時記憶)を改変したり混乱させたりする出来事に対して、起床時よりも強い抵抗力を持つことが実験で明らかになったという。
近時記憶は脳の海馬に蓄えられ、すぐには定着しないことがこれまでの研究でわかっている。また、記憶直後にその記憶を再活性化することで、記憶が脳内のハードディスクドライブである新皮質に移り、長期的に保管されることがわかっている。
だが、起床時に記憶を再活性化しようとすると、記憶の想起が不安定な状態に置かれることになる。たとえば、ある詩を暗記した後で次の詩を暗記し始めてから、1つめの詩の記憶を再活性化しても長期記憶に保管されにくくなる。
■睡眠は記憶定着を妨害されにくい
研究チームは、この起床時の記憶保管の妨害が、睡眠中にも同様に起きるのかどうかを調べた。
実験では、まず、ボランティア24人に、動物や日常的に目にする物体を描いた15種類のカードの図柄を記憶してもらった。記憶する間、ボランティアらはわずかに不快感のある臭気にさらされた。
40分後、ボランティアの半数には、1度目のカードと少しだけ図柄の異なるカード群を記憶してもらった。この際、1度目の実験でかいだ臭気を再度かいでもらった。これは1度目の実験を思い出す効果を狙ったものだ。
一方、残りのボランティアには1度目の実験の臭気にさらされた状態で軽い睡眠(ノンレム睡眠)を取った後に2度目のカードを記憶してもらった。その後、両グループに1度目に覚えたカードについてテストを行った。
驚くべきことに、睡眠したグループの方が、睡眠しなかったグループよりも良い結果となった。睡眠しなかったグループは60%の正解率だったが、睡眠したグループの正解率は平均85%に上った。
■睡眠直後から記憶保管を開始
論文主執筆者のディーケルマン氏は「記憶の再活性化は、睡眠時と起床時では全く違った効果を及ぼした」と述べた。
同氏によると、脳の画像分析をしたところ、睡眠後わずか数分で海馬から新皮質への新情報の移動が始まっていた。40分の睡眠後には、新たな記憶に妨害されない長期保管の領域に、十分な量の記憶が保管されたという。
記憶の固定に短期間の睡眠が効果的であるとの研究結果は、語学学習など、記憶と関連性の高い活動にとって意味があるだろうと、ディーケルマン氏は述べる。また、研究結果から、心的外傷後ストレス症候群に対する新たな対処法も導き出すことができるだろうと指摘した。(c)AFP/Marlowe Hood