ゾウの「代理母」を使ったマンモス復活計画、近畿大
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【1月18日 AFP】日本の研究者らが今年、マンモスをクローン技術で復活させる計画を始動させる。今後5、6年以内の実現が期待できるという。5日の読売新聞(Yomiuri Shimbun)が報じた。
研究チームはこの夏、ロシアの研究所に保管されているマンモスの組織をもらい受ける。マンモスの場合、化石でしか残っていない恐竜とは違い、クローン作製のための細胞再生を可能にする組織が残っていた。チームを率いる入谷明(Akira Iritani)近畿大生物理工学研究科教授(京都大名誉教授)は同紙に、「実現可能な体制がようやく整った」と語った。
計画では、核を取り除いたゾウの卵細胞にマンモスの細胞の核を導入し、マンモスの遺伝子を持つ胚(はい)を作製する。次に、この胚をゾウの子宮に移す。生まれてくるのはマンモスの赤ちゃんというわけだ。ゾウの細胞を使う理由は、ゾウがマンモスの近縁種であるため。
■マンモスの核をゾウの卵細胞に
以前の計画は、細胞核の大半が凍結して壊れていたために頓挫した。だが研究チームは、冷凍保存されていたマウスの死体の細胞を使ったクローン作製に成功した理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の若山照彦(Teruhiko Wakayama)博士の実験を基にして、凍結細胞からDNAを壊さずに抽出する技術を開発した。
若山博士は2008年、永久凍土とほぼ同じ零下20度で16年間保存されていたマウスの死体から採取した細胞の核を、核を取り除いた生体マウスの卵子に移植し、このES細胞をマウスの子宮に入れてクローンマウスを誕生させている。
入谷教授は、「クローン胚ができれば、子宮に移植する前に、飼育や公開のあり方を議論する必要がある。誕生後は生態や遺伝子を詳しく調べ、絶滅理由などの研究を進めたい」と同紙に話した。研究には、近畿大に客員教授として招かれたロシアのマンモス研究者1人と米国のゾウ研究者2人も参加している。(c)AFP/Shingo Ito