【1月14日 AFP】ほぼ確実に世界で最も有名な建築物である仏パリ(Paris)のエッフェル塔(Eiffel Tower)は当初、20年で取り壊される予定で設計された。それ以前に倒壊する、と予言した者さえいた。

 1889年のパリ万博のために建設中にも、ある数学教授は、構造計算によれば建設が3分の2まで進んだ時点で脚部が折れて全体が倒壊し、作業員や周囲の住宅に被害が出かねないと警告を発していた。

 しかしエッフェル塔は現在も建ち続けているだけではなく、まったく頑丈で、設計者ギュスターヴ・エッフェル(Gustave Eiffel)の設計の堅牢さと、手で金を伸ばす「パドル錬鉄」と呼ばれる19世紀末の錬金技術の確かさを証明するものだと、技術者たちは口をそろえる。

■CGで耐久実験
 
 フランスの機械工業技術センター(CETIM)の専門家たちはこのほど、このパリを象徴する鉄塔を構成する鉄1万8000個に関するデータから、精密なコンピューターモデルを作りあげた。これを使って、ハリケーン級の強風や豪雨、猛暑、極寒、大雪にさらされた場合のシミュレーションを行ったところ、モニターに映ったエッフェル塔はどんな状況でも、頑としていたという。

 エッフェル塔の管理会社SETEで構造安全管理の責任者を務める元海軍将校、ステファン・ルサン(Stephane Roussin)氏は「われわれは最近設けられたばかりの、最も厳しい欧州基準を採用してデジタル・シミュレーションによる強度実験を行っているが、エッフェル塔は本当に頑強だ。重量を倍にして計算しても、多少動きはするが、倒れはしない」と称賛する。

 SETEは、高さ324メートルの塔の強みと弱みをよりよく把握し、メンテナンス計画を微調整するため2008年にこのモデルを作った。目下、複数の重要プロジェクトが進行中だ。

 今年、エッフェル塔は19回目の再塗装を施される。2012年には1階の構造をオーバーホールする。塔自体の重量は8500トンだが、レストランやエレベーター、TVアンテナなどの設備すべてを含めるとさらに3000トンが加わる。(c)AFP/Laurent Banguet