【12月17日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が設置した生命倫理問題研究に関する大統領諮問委員会(Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues)は16日、新たな生命体創造のために生命体のDNA操作を行ういわゆる合成生物学について、リスクは限定的であり、研究推進を許可すべきだと勧告した。

 同委員会はこの問題に関する報告書を発表し、慎重かつ自己規制のもとに新たな生命体の創造手法を研究することで、クリーンエネルギー、汚染管理、医療などの各分野で有益な革新をもたらす可能性があると指摘。合成生物学は限定的ではあるが顕著な成果をもたらす可能性があり、伴うリスクも限定的だと結論づけた。また、将来研究が進めば別の障害が発生するかもしれないが、現時点では同分野に対する連邦規制やモラトリアム(一時停止)を支持する理由は見あたらないと説明した。

 同委員会は前年、オバマ大統領によって立ち上げられた。ことし5月、米国のJ・クレイグ・ベンター研究所(J.Craig Venter Institute)が、ゲノムの合成により自己再生が可能な細菌を人工的に作製することに初めて成功したと発表したことを受け、合成生物学について検討することを初仕事として命じられた。(c)AFP/Kerry Sheridan

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