【12月10日 AFP】人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って、脊髄(せきずい)損傷で首から下がまひしたマーモセット(小型サル)を飛び跳ねられるまでに回復させることに成功したと、岡野栄之(Hideyuki Okano)慶応大学教授らの研究チームが8日発表した。

 脊髄を損傷した小型霊長類がiPS細胞による治療で回復した事例は、世界で初めてという。岡野教授のチームは、脊髄損傷マウスをiPS細胞を使って回復させた実績を持つ。

 研究チームは、4種類の遺伝子を人間の皮膚細胞に導入してiPS細胞を作製。最も効果的なタイミングと考えられる脊髄損傷後9日目のマーモセットに、iPS細胞を投与した。

 このマーモセットは投与から2~3週間以内に、手足を動かせるようになった。6週間後には、飛び跳ねることができるようになった。前脚の握力も80%まで回復し、正常な身体機能に極めて近い状態まで回復したという。

 岡野教授は、今回の結果について、iPS細胞を使った医療の実現に向けた大きな前進だと話している。(c)AFP

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