NASA、「地球外生命につながる新生命体」を発見・・・ただし地球上で
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【12月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の研究チームは、リンの代わりにヒ素を摂取して成長する細菌をカリフォルニア(California)州東部のモノ湖(Mono Lake)で発見したと、3日の米科学誌サイエンス(Science)に発表した。
これまで、生命の維持には炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄の6元素が必須というのが定説だった。リンがなくても生きられる細菌が発見されたことで、生命の構成要素の再定義を迫られるとともに、地球上の未知の有機体や地球外生命体の探索に新たな希望が示されたことになる。
この「GFAJ-1」という細菌は、ヒ素を食べるだけでなく、DNAと細胞膜でリンをヒ素と交換する。GFAJ-1の存在自体は知られていたが、こうした働きについては初めて明らかになったという
発見者であるNASA宇宙生物学研究所のフェリッサ・ウルフ・サイモン(Felisa Wolfe-Simon)氏は2日の会見で、「地球外生命体の可能性へのドアが開かれた」と述べた。
科学界では一時期、人間が酸素や食物からエネルギーを調達するように、ヒ素を食べてエネルギーを得ている細菌がいるのではないかと言われていた。
論文を共同執筆したポール・デービス(Paul Davies)氏は「生命体は最初、ヒ素を通じて発生し、その後リンに適応したのではないか」と推測する。ただ、ヒ素が先か、リンが先かはまだ断言できないという。この細菌は、太古のヒ素の時代の「生きた化石」である可能性もある。
ダビース氏は、ヒ素を食べる生命体は地球上にもっとたくさん存在しているかもしれないと付け加えた。
NASAは前月29日、宇宙生物学上の発見に関する会見を2日に行うと発表していた。(c)AFP/Kerry Sheridan