【11月9日 AFP】人類の直近の祖先とされるネアンデルタール人とホモサピエンス(現生人類)の脳は、誕生時には似ているものの、生後1年間の発達の仕方が異なるという論文が、8日の米科学誌カレントバイオロジー(Current Biology)に発表された。

 独マックス・プランク進化人類学研究所(Max-Planck Institute for Evolutionary Anthropology)のフィリップ・グンツ(Phillipp Gunz)氏によると、現生人類と約2万8000年前に絶滅したネアンデルタール人の脳は、誕生時にはほぼ同じ容量でほとんど違いがみられないが、その後の1年間の発達過程に大きな違いがあるという。

 グンツ氏らのチームは、発掘された化石の破片をもとにコンピューターで再現したネアンデルタール人の脳を、さまざまな成長段階の現生人類の赤ん坊の脳と比較した。その結果、現生人類の脳は生後1年間で神経回路が極めて活発になることがわかった。このことが初期の現生人類が自然選択で勝ち残っていったことに貢献した可能性がある。

 グンツ氏は、現生人類の知性は脳の大きさとはさほど関連しておらず、脳内の構造の方が重要だと指摘し、「ネアンデルタール人は脳が大きいため賢かったと考えられているが、脳の成長は(現生人類と)異なっていたため、脳内構造も違っていたはずだ。したがって彼らがわれわれと同じように世界を認識していたとは考えにくい」と語った。(c)AFP