【11月8日 AFP】英スコットランドの物理学者チームが、光を曲げて、ハリー・ポッター(Harry Potter)に出てくる「透明マント」のように物体を見えなくすることができる可能性に一歩近づく「メタフレックス」と呼ばれる物質を作製したと、英専門誌『New Journal of Physics』に発表した。

 この物質はナノレベル構造をもち、入射した光を表面で屈折させることができる。これによって、光は物質に吸収されるのではなく、水が岩の表面に沿って流れるように、周囲に沿って屈折するため遮蔽効果が生まれる。

 人間の目が認識できる可視光線の波長は400ナノメートル(青や紫の光)~700ナノメートル(深紅の光の波長)だが、現段階のメタフレックスは620ナノメートル前後の波長の光を屈折させる。

 まだ試作段階で、遮蔽効果が現れる波長や色、スペクトルは限定されているが、従来は硬い物質から作成していたこの物質を今回、スコットランドのセント・アンドルーズ大学(University of St. Andrews)のアンドレア・ディ・ファルコ(Andrea di Falco)氏らの研究チームは商業用の可塑性ポリマーから作成し、利用の可能性を広げた。可塑性について、チームはコンタクトレンズの上という小さな面積に、メタフレックスの層を重ねる実験で示した。

 ディ・ファルコ氏は「メタマテリアルは、光の性質を操作するという究極の能力をわれわれに与えてくれるもの」で、光学機器から衣服まで広く採用できる可能性があると述べた。(c)AFP