【10月29日 AFP】約2万年前に欧州で発明されたと考えられていた石器の作り方を、約7万5000年前の先史時代にアフリカ南部に住んでいた人類がすでに行っていたとする論文が、29日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

「押圧剥(はく)離」という石器製作法は、動物の骨などを用いて石片の縁付近を押圧し、先端をとがらせて槍(やり)先端部を作る高度な技術。約2万年前に欧州で発明されたというのが定説だった。

 ところが、南アフリカのブロンボス洞窟(Blombos Cave)で発掘された約7万5000年前(中石器時代)の石器を分析した米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)の研究チームは、この石器が押圧剥離により製作されていたことを突き止めた。

 論文を共同執筆した同大自然史博物館の学芸員、パオラ・ビラ(Paola Villa)氏によると、押圧剥離は、槍先や石包丁といった両面石器を製作する上で、鋭さ、厚さ、形状などの微妙な調節に向いている。

 研究チームは、押圧剥離がアフリカ南部に起源を持つとの仮説を実証するため、ブロンボス洞窟から発掘したシルクリート石の槍先端部と見られる石器を、同じ場所から採取したシルクリート石を加熱、押圧剥離して実験的に製作した複製品と比較分析した。その結果、類似点が見られたことから、発掘された石器が押圧剥離により製作されたと結論づけた。

 研究チームは、押圧剥離はアフリカで発明され、その後欧州、オーストラリア、北米へ広がっていったと推測している。(c)AFP