【10月5日 AFP】スウェーデン王立科学アカデミー（Royal Swedish Academy of Sciences）は5日、2010年のノーベル物理学賞を英マンチェスター大学（University of Manchester）のアンドレ・ゲイム（Andre Geim）氏（51）とコンスタンチン・ノボスロフ（Konstantin Novoselov）氏（36）に授与すると発表した。炭素をシート状にした伝導性の高い「グラフェン（graphene）」と呼ばれる素材を開発した。

　王立科学アカデミーはグラフェンを「完ぺきな原子格子」と呼び、「非常に平らにした炭素には、量子物理学の驚くべき世界が生み出すたぐいまれな性質があることを明らかにした」ことを称えた。

　2004年に開発されたグラフェンは炭素原子1つ分の厚さしかない。熱や電気をよく通すため、トランジスターの素材にすればコンピューターの高速化・小型につながると期待されているほか、ほぼ透明であることから、タッチスクリーンや太陽電池に応用できる可能性もある。プラスチックと混合して軽くて丈夫な次世代の素材を作る研究も行われている。

　両氏はともに物理学者としてのキャリアをロシアでスタートさせたが、現在は共にマンチェスター大にいる。ゲイム氏はオランダ国籍、ノボスロフ氏は英国とロシアの二重国籍。

　授賞式は12月10日にストックホルム（Stockholm）で開かれる。2人には合わせて1000万クローナ（約1億2400万円）の賞金とメダルが贈られる。(c)AFP