【9月22日 AFP】中国は2013年に同国初の月面無人探査機「嫦娥(じょうが)3号(Chang'e-3)」を打ち上げる計画だが、月面に水が発見されたことが搭載予定の天体望遠鏡に影響を及ぼす可能性があると、中国の天文学者が21日、ローマ(Rome)で開催中の欧州惑星科学会議(European Planetary Science Congress)で発表した。

 水の存在は2009年9月に確認された。水は、日に当たると蒸発して水酸分子に分解される。

 中国は「嫦娥計画」で最終的に月面天文台を建設することを目指しているが、水酸分子の量が予想以上に多くなることで計画に深刻な影響が及ぶ可能性があると、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)のZhao Hua氏が発表した。

 それによると、水の存在を考慮して月の大気中の水酸分子の量を再計算した場合、定説より2ケタから3ケタ多くなることが明らかになった。

 これは、嫦娥3号に搭載される紫外線望遠鏡にとっては悪いニュースだ。この望遠鏡はソーラーパネルから電力を供給されるため、日の当たる面で稼働されることになる。

 水酸分子は、特定の波長の紫外線では特殊な方法で散乱する。こうなると、光子(光の粒子)の吸収と再放出が高速で行われ、正確な観測ができなくなる恐れがあるという。(c)AFP