改良キャッサバでアフリカの飢餓を救え、ナイジェリア
このニュースをシェア
【9月11日 AFP】ナイジェリアの畑で見た「魔法」のキャッサバが、進化論の父チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)を喜ばせ、アフリカの飢餓を大きく救うかもしれない。
「1株抜けば、6~7個の芋がついてくるよ。前に育てていたのでは、1株で2、3個しかできなかったんだけどね」。ナイジェリア西部で農業を営むバシール・アデインカ・アデシヤン(Bashir Adeyinka Adesiyan)さんは、品種改良した新しいキャッサバを「魔法の植物」と絶賛する。
ダーウィンが驚嘆した品種の多さゆえに、キャッサバは利用範囲も広い。キャッサバの生産量が世界一多いナイジェリアなどアフリカ7か国の研究者たちは、成長が早く、病気への抵抗力が強い品種の開発に乗り出している。遺伝子操作には頼っていない。十年以上かけて、自然交配と選択を繰り返す従来の改良方法で株を作った。
■新品種の株を農家に無償配布
ナイジェリアに本部を置く非営利団体、国際熱帯農業研究所(International Institute of Tropical Agriculture、IITA)は7州を選び、この改良株を各州の農家に無料で配っている。年内にナイジェリア国内で7万5000戸の農家への配布を目指している。ITTAのプロジェクト・コーディネーター、リチャードソン・オケチュクウ(Richardson Okechukwu)氏は目標に「生産高の倍増」を掲げる。
事業費は総額530万ドル(約4億5000万円)規模で米国際開発局(US Agency for International Development、USAID)が資金援助している。シエラレオネ、ガーナ、タンザニア、マラウィ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、モザンビーク、ナイジェリアのアフリカ7か国の農家40万戸を直接支援することを目指している。
農業が盛んなナイジェリア南西部のイフォン(Ifon)で先ごろ1500の株が配布された際には、ヨルバ(Yoruba)族伝統の打楽器と踊りで盛り上がり、祭りのような風景になった。
■工業利用も、輸出にも期待
このキャッサバ・プロジェクトは08年の国際的な食糧危機を受け、当初はアフリカ、中でも旱ばつ被害の激しいチャドとニジェールの飢餓対策として始められたものだ。しかし、工業原料にもなる用途の広さから、原料需要の伸びている中国に対する有望な輸出品になるのではないかとの期待が高まっている。
最初の成果から、この見通しに科学者も農家も手ごたえをつかんでいる。前述のオケチュクウ氏は「ナイジェリアだけではなく、ニジェールやチャドなど周辺国の食糧安全保障に貢献し、大規模なキャッサバ産業を作るためにもっと多くの株を提供していく」と意気込んでいる。
世界の多くの国で、キャッサバは最もよく摂取される炭水化物源のひとつで、さまざまな調理法で食べられている。オケチュクウ氏によると、アフリカ諸国のうちナイジェリアやリベリア、シエラレオネ、コンゴ民主共和国といった国では、キャッサバの葉もタンパク源として食される。
さらに品種改良株のキャッサバからは、タイヤや接着剤、エタノールのようなバイオ燃料、肥料、医薬品への加工など、工業利用が模索されている。
国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)によると、ナイジェリアは08年のキャッサバ生産量が4460万トンと世界一だが、ナイジェリアでは生産したキャッサバを主に国内で消費している。キャッサバの輸出が世界一多いのはタイだ。(c)AFP/Aderogba Obisesan
「1株抜けば、6~7個の芋がついてくるよ。前に育てていたのでは、1株で2、3個しかできなかったんだけどね」。ナイジェリア西部で農業を営むバシール・アデインカ・アデシヤン(Bashir Adeyinka Adesiyan)さんは、品種改良した新しいキャッサバを「魔法の植物」と絶賛する。
ダーウィンが驚嘆した品種の多さゆえに、キャッサバは利用範囲も広い。キャッサバの生産量が世界一多いナイジェリアなどアフリカ7か国の研究者たちは、成長が早く、病気への抵抗力が強い品種の開発に乗り出している。遺伝子操作には頼っていない。十年以上かけて、自然交配と選択を繰り返す従来の改良方法で株を作った。
■新品種の株を農家に無償配布
ナイジェリアに本部を置く非営利団体、国際熱帯農業研究所(International Institute of Tropical Agriculture、IITA)は7州を選び、この改良株を各州の農家に無料で配っている。年内にナイジェリア国内で7万5000戸の農家への配布を目指している。ITTAのプロジェクト・コーディネーター、リチャードソン・オケチュクウ(Richardson Okechukwu)氏は目標に「生産高の倍増」を掲げる。
事業費は総額530万ドル(約4億5000万円)規模で米国際開発局(US Agency for International Development、USAID)が資金援助している。シエラレオネ、ガーナ、タンザニア、マラウィ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、モザンビーク、ナイジェリアのアフリカ7か国の農家40万戸を直接支援することを目指している。
農業が盛んなナイジェリア南西部のイフォン(Ifon)で先ごろ1500の株が配布された際には、ヨルバ(Yoruba)族伝統の打楽器と踊りで盛り上がり、祭りのような風景になった。
■工業利用も、輸出にも期待
このキャッサバ・プロジェクトは08年の国際的な食糧危機を受け、当初はアフリカ、中でも旱ばつ被害の激しいチャドとニジェールの飢餓対策として始められたものだ。しかし、工業原料にもなる用途の広さから、原料需要の伸びている中国に対する有望な輸出品になるのではないかとの期待が高まっている。
最初の成果から、この見通しに科学者も農家も手ごたえをつかんでいる。前述のオケチュクウ氏は「ナイジェリアだけではなく、ニジェールやチャドなど周辺国の食糧安全保障に貢献し、大規模なキャッサバ産業を作るためにもっと多くの株を提供していく」と意気込んでいる。
世界の多くの国で、キャッサバは最もよく摂取される炭水化物源のひとつで、さまざまな調理法で食べられている。オケチュクウ氏によると、アフリカ諸国のうちナイジェリアやリベリア、シエラレオネ、コンゴ民主共和国といった国では、キャッサバの葉もタンパク源として食される。
さらに品種改良株のキャッサバからは、タイヤや接着剤、エタノールのようなバイオ燃料、肥料、医薬品への加工など、工業利用が模索されている。
国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)によると、ナイジェリアは08年のキャッサバ生産量が4460万トンと世界一だが、ナイジェリアでは生産したキャッサバを主に国内で消費している。キャッサバの輸出が世界一多いのはタイだ。(c)AFP/Aderogba Obisesan