【8月19日 AFP】前年9月29日に南太平洋のサモアとトンガに津波被害をもたらしたサモア諸島沖地震は、3つの地震がほぼ同時に発生したことによってもたらされたとする2本の論文が18日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 この地震では、高さ15メートルの津波が発生して複数の村やリゾート地を飲み込み、サモア、米領サモア、トンガ北部で186人が死亡した。

 当初、津波は震源地をトンガ海溝(Tonga Trench)とするマグニチュード(M)8.1の地震によるものと考えられていたが、津波の波や高さから、疑問が生じてきた。

 データを分析した米ユタ大(University of Utah)などの研究チームは、M8.1の地震の直後に、50キロ以上離れた地点でM7.8の2つの地震がほぼ同時に発生していたことが判明したと論文で発表した。この2つの発生地点は互いに近接していたという。

 このように1つの地震が別の地震を引き起こす現象は「ドミノ地震」と呼ばれるもので、珍しいものではないという。

■特異な地震発生メカニズム

 地震発生メカニズムについては、これまでに観測されたことのないパターンであることがわかった。ニュージーランド地質・核科学研究所(GNS Science)のグループは、まず太平洋プレートの一部がトンガ海溝の下に沈み込む付近ではね返ってM8.1の「正断層型地震」が発生し、これが沈み込み帯において2つのM7.8の地震をほぼ同時に誘発したとする論文を発表した。後者の地震は「スラスト型地震」と呼ばれるものだ。

 正断層型地震がプレート境界で大規模なスラスト型地震を引き起こしたケースは、今回初めて確認された。(c)AFP/Richard Ingham