【8月5日 AFP】タンザニアの約1億年前の地層から、水中より陸上生活に適応し、哺(ほ)乳類に似た特徴を持つ新種のワニ類の化石が発掘された。現在のワニのように獲物を飲み込むのではなく、肉をかみ砕いて食べていたと考えられるという。

「パカスクス・カピリマイ(Pakasuchus kapilimai)」と名付けられた化石は、米オハイオ大(Ohio University)などの研究チームが5日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 大きさはネコほどしかなく、体形は非常に細長い。柔軟性の高い背骨を持っており、背中と尾は比較的小さなウロコで覆われていた。空中を飛ぶ巨大トンボなどの獲物をジャンプして捕らえていたと考えられる。

■「哺乳類になりたかった」ワニ?

 最も際立った特徴は、歯の形状だ。現代のワニ類のように前に張り出した牙状の犬歯もあったが、臼歯によく似た歯も持っていた。現代のワニは獲物の肉を切り裂いてからほぼ丸ごと飲み込むが、パカスクス・カピリマイはこの臼歯に似た歯で肉をかみ砕いていたと考えられる。

 だが、臼歯は、哺乳類の祖先だけが持っていたと考えられてきたものだ。「一目したところ、このワニは哺乳類になろうと必死に努力していたように見えます」と、オハイオ大のパトリック・オコナー(Patrick O'Connor)教授は笑う。

 教授によると、化石には、約6500万年前に始まった中生代から新生代にかけての哺乳類の進化の過程に見られる特徴に非常に良く似たものが多く認められるという。(c)AFP/Marlowe Hood