【7月30日 AFP】自動走行する車いす、障害者用ロボットアーム、人型給仕ロボット――。東京ビッグサイトで28~30日開催された「次世代ロボット製造技術展 ROBOTECH(ロボテック)」では、急速に進む高齢化社会を反映した最先端技術が展示された。

 どの技術も、高齢者、障害者、介護者の生活をもっとラクにする目的で開発されたものだ。

■介護者不足にも対応へ、自走車いす

 埼玉大学(Saitama University)が開発した「車いすロボット」は、手で車輪を回す必要も、介護者が押す必要もない。介護者の横で、自動走行してくれるのだ。内蔵カメラとセンサーで前方の介護者や障害物を検知し、安全な走行を実現。走行・停止をジョイスティックで操作することも可能だ。

 開発に携わった小林貴訓(Yoshinori Kobayashi)助教は次のように話す。「あなたが乗った車いすが、誰かに押されて店に入ったと想像してみてください。店員や周りの人の目には、あなたと介護者が対等な関係にあるとは映らないでしょう。あなたは、一人前の人間とは見られないわけです」

 介護者が不足している現状にかんがみ、介護者1人の後ろを同時に複数の車いすロボットがついていくことが可能なシステムの開発にも取り組んでいるという。

■身体障害者向けのマジックハンド

 産業技術総合研究所(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)が開発した生活支援用ロボットアーム「RAPUDA(ラピューダ)」は、体は不自由だが指先、つま先、首など一部は動かせるという人向けの、「持ち運び可能な機械の手」だ。

 車いすやテーブルなどに取り付けて使用する。1メートル以内であれば、アームが伸びて取りたい物をつかんでくれる。

「飲みたい時にお茶を飲み、お店で気に入った品物をすぐ手に取れるといったことは(障害者にとって)重要です。そうでなければ、人に何度も何度もお願いしなければならず、何度も何度も『ありがとう』と言わなければなりません。疲れ果ててしまいますよ」と、開発した尹祐根(ユン・ウグン、Woo-Keun Yoon)研究員は言う。

■「ご主人様」に仕えるメイドロボットも

 埼玉大学では、「ご主人様」の顔色を読むこともできるメイドロボットも開発中だ。まだ試作段階だが、漫画キャラクターのような外見のこのロボットは、スカートの下に隠れた電動立ち乗り二輪車「セグウェイ(Segway)」で自在に動き回ることができる。

 内蔵のセンサーとソフトウェアが「ご主人様」からの視線を感じると、飲み物を持っていくなどの雑事をこなす。老人ホームやレストランなどでの活躍が期待できるという。

 日本ロジックマシン(Japan Logic Machine)が開発した介護ロボット「百合菜(ゆりな、YURINA)」は、寝たきりの人を両手で持ち上げることができる。頭に装着されたタッチパネル上で命令すると、おむつ換えの時に足を持ち上げてくれる。風呂に入れる時には、ハンモックに寝かせて丁寧に運んでくれる。(c)AFP/Miwa Suzuki