【7月17日 AFP】下半身不随になった人がもう一度歩くことができるよう支援する「ロボットの脚」の開発に世界で初めて成功したと、ニュージーランドの開発者2人が発表した。名称は「robotic exoskeleton(ロボット外骨格)」を省略した「Rex(レックス)」だ。

 15日にRexの公開試験が初めて行われた。着用したのはヘイデン・アレン(Hayden Allen)さん(23)。オートバイで交通事故に遭って胸より下の部分がまひし、2度と歩くことはできないだろうと5年前に宣告された。

 Rexを装着して起立・歩行したアレンさんは、まるで障害がない体に戻ったようで素晴らしかったと喜び、「ほかの人と同じ高さの目線で話せるということは、社会生活の上でも大切なことだ」と述べた。

■ヒントは『エイリアン2』

 開発者のリチャード・リトル(Richard Little)氏とロバート・アービング(Robert Irving)氏はともにスコットランド国籍の技術者だったが、1990年代にニュージーランドに移住して同国の国籍を取得した。7年前にこのRexを発案し、これまでに1000万ニュージーランドドル(約6億1500万円)の開発費を投じた。

 Rexの重量は38キロ。ジョイスティックで操作する。映画『エイリアン2(Aliens)』でシガーニー・ウィーヴァー(Sigourney Weaver)が演じたリプリーが、エイリアンと戦うために操縦したロボットの外骨格から着想を得たという。

■車いすユーザーの可能性広げる

 リトル氏とアービング氏はウェブサイト「Rexbionics.com」で「(Rexは)車いすの代わりになる現実的な起立・歩行」装置だと説明する。「(Rexでは)階段の上り下り、着座、起立、前後の歩行、横向きの歩行ができる。歩きたいと思っている車いすユーザーに、歩行の機会を提供する」

 しかし、Rexの価格は1台15万米ドル(約1300万円)と高額だ。また、2011年には世界販売が始まる見込みだが、今のところはニュージーランド国内でしか購入できない。

 Rexを開発するレックス・バイオニクス(Rex Bionics)は、メカトロニクス技術者やソフトウエア開発者らなど従業員25人の会社。25万米ドル(約2200万円)までなら購入するという申し込みもすでに入っており、同社では今後数年間は生産が需要に追いつかない状態になると予測している。(c)AFP