【6月28日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は25日、ESAの火星探査機マーズ・エクスプレス(Mars Express)と米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネサンス・オービター(Mars Reconnaissance OrbiterMRO)」が、火星の北方平原でケイ酸塩水和物を発見したと発表した。かつて水の流れがあったことを明らかに示す証拠であり、水をはじめとする「生命体の生存に適する条件」が火星全体に存在していた可能性があるとしている。

 米科学誌サイエンス(Science)での研究結果の公表に先立って声明で明らかにした。

■「海」はあった?なかった?相反する研究結果

 研究の主著者であるパリ大学(University of Paris)のJean-Pierre Bibring氏によると、火星の表層には40億年前には水があったが、数億年で消失したという。また、水は「大きな海のような形ではなかった」としている。

 この研究結果は、13日に米国の研究チームが英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に発表した、「約35億年前、火星の表面の3分の1以上が巨大な海に覆われていた」とする研究結果と相反する。

「35億年前には火星にはすでに大気がなく、水が液体の状態で安定して表層に存在する状態ではなかった」とBibring氏。「大規模な水の流れがあった可能性はあるが、表層水が欠如していたため、恒久的な海は存在できなかった」と指摘した。同氏によると、気圧と気温の条件によって水が液体として存在できない場合、水は蒸発して火星を去るか、土壌中にしみ込むかのいずれかで、数日または数週間なら表層にとどまることはあっても数百万年にわたって存在することはないという。

 ケイ酸塩水和物は北方平原に数キロにわたって続く多数の衝突クレーターで発見された。ESAは以前、火星の南方高地でも類似の鉱物を発見している。(c)AFP
 
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