【5月25日 AFP】直接測定しなくても動物の体温を推定できる技術を米カリフォルニア工科大学(California Institute of TechnologyCaltech)の研究チームが開発し、その概要が24日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)の速報版に掲載された。恐竜が変温動物だったのか、それとも恒温動物だったのか、明らかになるかもしれない。

 この技術は骨格や歯の化石、卵の殻の放射性同位体(アイソトープ)を分析することで絶滅した大型脊椎(せきつい)動物の体温を推定するというもの。研究チームは動物の化石などから体温を推定する手法は初めてだとしている。

 ロバート・イーグル(Robert Eagle)氏らの研究チームは、2つの希少な放射性同位体、炭素13と酸素18の濃度に着目した。重い放射性同位体ほど互いに凝集する度合いが高いが、この作用は温度の影響を受け、温度が低いほど凝集し、温度が高いほど分散する傾向がある。

 研究チームは生きているゾウとサメでこの手法が有効であることを確かめたうえで1200万年前のサイの仲間にあたる哺乳類と、変温動物であるワニの祖先にあたる動物の化石を調べた。その結果、サイの仲間とワニの祖先の間に約6度の体温差があったことが推定できた。

「paleothermometer(古温度測定)」と呼ばれるこの手法が正確であることが確認できたとして、研究チームはさらに時代をさかのぼり、まだ体温の実態が明らかになっていない恐竜の体温について調べるとしている。(c)AFP/Jean-Louis Santini