【5月25日 AFP】銀河系内で、惑星が周回している恒星に飲み込まれる過程が、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)によって観測されたことが明らかになった。今月10日の学術誌「Astrophysical Journal Letters」上で発表された。

 この惑星はWASP-12bと呼ばれ、表面温度が約1500度という銀河系内で知られている限り最も高温の惑星だとされている。この惑星は今後1000万年ほどで恒星に飲み込まれてしまう可能性があるという。

 英通信制オープン大学(Open University)のキャロル・ハズウェル(Carole Haswell)氏を中心とした研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡に前年搭載された紫外線分光器「コズミック・オリジン・スペクトログラフ(Cosmic Origins SpectrographCOS)」を利用し、惑星が恒星の重力によってゆがんだ形状になる過程を観察した。

 ハズウェル氏は、「われわれは、恒星から離れようとしつつも飲み込まれてしまう、惑星周辺にある巨大な物質の雲を見ることができる。さらに、太陽系外にある惑星ではこれまで観測されたことのない元素を特定した」と語った。

 ぎょしゃ座の惑星WASP-12bは、地球から約600光年の距離にあり、地球の300倍以上の大きさをもつ。太陽系最大の惑星である木星に比べ、質量が40%ほど大きい。恒星の非常に近くを公転しており、公転周期は24時間をやや超える程度。

 恒星が非常に接近して周回する惑星を飲み込むことはすでに知られているが、これほど明確に観測されたのは今回が初めて。(c)AFP

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