【4月23日 AFP】米空軍は22日午後7時52分(日本時間23日午前8時52分)、米フロリダ(Florida)州ケープカナベラル(Cape Canaveral)空軍基地から、開発中の軍事用無人シャトル「X-37B」をアトラスV(Atlas V)ロケットで打ち上げた。同軍はビデオ映像を発表したが、この無人シャトルは秘密のベールに包まれている。

 米空軍広報担当のアンジー・ブレア(Angie Blair)少佐は、AFPの取材に打ち上げが完了した事実は認めた。同軍ウェブサイトの情報から、大きな支障もなく当初の計画どおり進められたものとみられる。

 X-37Bは全長8.9メートル、翼幅4.5メートルでスペースシャトルのような形状をした再利用型の宇宙船(往還機)。数年にわたり開発されてきたが、目的や役割については明かにされておらず、空軍は人工衛星計画で使用する予定の新技術や装備の「軌道上実験」を行うとのみ発表している。今回の飛行では運用管制官がシャトルの誘導・航法・管理システムを監視することは明らかにしたが、貨物室に何を積んでいるのか、また、どのような実験が予定されているのかは伏せられている。

 計画予算は数百万ドルに上るとみられるが、国防総省では正確な予算についても、また軍事的任務に関する質問についても回答を避けている。

 X-37Bはカリフォルニア(California)州のバンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)に帰還する予定だが、ミッションの期間も明らかにしていない。空軍衛星計画担当のゲーリー・ペイトン(Gary Payton)副次官も今週の記者会見で「正直われわれもいつ帰還するのか知らない」と答えた。同シャトルの宇宙空間での稼働限界期間は9か月だという。またペイトン副次官は、実験飛行の結果は「将来の(米空軍の)戦闘機開発」に利用されると語った。

 観測筋は、国防総省は軍事利用できる無人シャトルを念頭に置いているはずで、そうでなければこれほどの時間や費用をかけるはずがないと話している。

 ボーイング(Boeing)が製造したX-37Bは、宇宙空間でのエネルギー源として太陽電池とリチウムイオン電池を使用する。99年に米航空宇宙局(NASA)のプロジェクトとして開始されたがその後、空軍に引き継がれた。空軍は2機目のX-37Bを2011年に打ち上げる予定だ。(c)AFP