【4月14日 AFP】スイス・ジュネーブ天文台(Geneva Observatory)」などの天文学者チームは13日、主星の自転とは逆向きに公転する系外惑星を6つ発見したと発表した。これまで、惑星は常に、中心の恒星が自転する向きと同じ方向に公転していると考えられてきた。

 天文学者チームは、最近発見された9個の太陽系外トランジット惑星系(地球から見て惑星が主星の前面を通過する惑星系)に関するデータを分析。この結果と従来の観測データを合わせて27個の系外惑星について調査したところ、うち6個の公転の向きが主星の自転方向とは逆であることが明らかになった。

■どのように生成されたか

 これら9個のトランジット惑星系は、木星と同等またはそれ以上の質量を持ついわゆる「ホットジュピター」だった。木星が太陽から極めて遠いところを公転しているのに対し、ホットジュピターは主星の極めて近くを公転している。

 ホットジュピターは主星からかなり離れたところに漂う物質で形成されてのち、重力相互作用により主星に近い軌道へ徐々に移動したというのが、これまでの定説だった。

 しかし、これらのトランジット惑星系は、幼児期に遠くにある惑星や近くの星とともに「重力の綱引き」に巻き込まれ、その途上で軌道に放り込まれた可能性を示唆しているという。その後、潮汐摩擦と呼ばれる現象によって主星に引き寄せられ、主星に近い不規則に傾いた奇妙なかたちの軌道に落ち着いたと考えられるという。

■逆行するホットジュピターは宇宙の「殺人者」

 木星は、太陽系内のほかの惑星を守る役目を果たしているとされている。その大きさにより、地球を含む小型のぜい弱な岩石惑星に彗星(すいせい)や小惑星が追突するのを防いでいるというのだ。 

 しかし、今回発見された「逆行する」ホットジュピターは、保護者ではなく殺人者である可能性があるという。宇宙をビリヤード台に例えるならば、こうしたホットジュピターは巨大なボールで、複雑な動きをする間に付近にある小型の惑星をことごとく消し去る可能性があるという。(c)AFP