【4月1日 AFP】人類が文字を発明して以後も長い間北極海の孤島に生存していた最後のマンモスたちは、「短期間で」絶滅したとする論文が、前月30日の英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。

 かつてユーラシアと北米をかっ歩していたマンモスだが、前回の氷河期の終わりまでになぜ大半が絶滅してしまったのかは、これまで、激しい議論が戦わされてきた。

 マンモスの群れは、現在のロシア・シベリア北部のウランゲル島(Wrangel Island)に約4000年前まで生息していたことが知られている。放射性炭素年代測定法では、紀元前1700年までは少なくとも数頭が存在していたことが明らかになっている。なお、この島はもともと陸続きだったが、1万2000~9000年前に水位の上昇により孤島となった。

 ストックホルム大(Stockholm University)の研究チームは、絶滅の原因を探るべく、マンモスの骨と牙から少量のミトコンドリアDNAを抽出し、分析した。

■遺伝的多様性は安定

 要因の1つとして、遺伝的多様性が失われたことが想定された。その原因としては、コスタリカやプエルトリコよりもやや小さい7600平方キロほどのウランゲル島で近親交配が繰り返されたことや、地球が間氷期に入ったことによる気候変動がマンモスには悪影響となったことが考えられた。

 しかし分析の結果、驚いたことに、遺伝的多様性は絶滅に至るまで安定を保ち、やや増えてさえいることが明らかになった。

 このことは、絶滅が、環境のゆるやかな変化というよりは比較的突然の変化によってもたらされたことを示しているという。

■狩りによる絶滅の可能性もなし

 なお、考古学データによると、人類がウランゲル島に初めて到達したのはマンモスが絶滅してから約100年後のことだという。

 以上から、マンモスは気候変動や病気、人類による狩りで絶滅したとは考えられず、巨大な嵐といった突発的な事象や、新しい細菌やウイルスの出現が原因との仮説を立てることができるという。(c)AFP/Marlowe Hood